神田外語大学同窓会

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私がインドネシアで働きながら学んだこと

皆さん、初めまして。2017年にアジア言語学科インドネシア語専攻を卒業した高橋優里です。私は新卒入社した会社で1ヶ月の研修を経て、インドネシアに出向となり、約4年間、人材紹介業務に携わっていました。今回は私がこれまでの経験から学んだ、海外就労の際の気持ちの持ち方、そして興味を持ったら行動を開始することの大切さについてお話ししたいと思います。

 「海外で働くこと」をゴールにしない

私は在学中に留学したこともあって、とにかく「インドネシアで就労できること」を第一優先に、就職活動を行いました。なぜなら、高い学費を払ってインドネシア語を勉強してインドネシアに留学したにも関わらず、インドネシアと関係のない仕事に就くことは考えられなかったからです。おそらくアジア言語学科やその他主要言語を専攻した方々の中には同じように考えた方も多いのではないでしょうか?

そんな中で出会ったのが今の会社です。しかし、選考の過程で人事の方に「インドネシアで働くことがゴールになっていないか?それでは内定をあげることはできないし、海外勤務をさせることはできない。」とズバリ指摘されました。鋭い指摘に一瞬言葉が詰まったものの、やはりインドネシアでの就労を諦めることはできず、どうして自分はインドネシアで働きたいのか、現地で何をしたいのかをあらためて考え、自分が思い描く目的・未来を明確にし、そのビジョンを共有することで内定を獲得することができました。

今なら理解できるのですが、やはり海外で働くのは日本で働くのとはわけが違って、言語や文化の違いはもちろん、どんなに辛い状況であっても気軽に愚痴を聞いてくれる相手もいない厳しい環境です。当時の私は確かにインドネシアでの就労が留学の延長線上にある目標になってしまっていて、インドネシアで何がしたいのか、どんな仕事に携わりたいのかにまで考えが及んでいなかったのです。

このように「海外で働くこと」がゴールになっていると、困難に陥った時、解決策を見出せず、その環境から逃げ出したくなってしまうかもしれません。これから先、海外での就労を考えている方は、「海外で働くこと」だけを目指すのではなく、「その国で何がしたいのか」「どんなことができるのか」まで考えた上で、転職活動をすることをお勧めします。

自分と同じ価値観を相手に求めない

次に、人材紹介という仕事についてお話します。人材紹介という言葉にあまり良いイメージがない方もいるかもしれませんが、私は「人と人との縁を結ぶ」とても魅力的な仕事だと感じています。具体的には「仕事を探している人」と「人材を採用したい企業」とを繋ぐ仕事です。インドネシアでは日系企業を中心とした採用活動中の企業に、インドネシア現地の方もしくはインドネシアで就労を希望する日本人求職者を紹介していたのですが、文化の違いによるトラブルが度々起きていました。

例えば、日本人ならば一般的に待ち合わせ時間の5分前に到着するのがマナーと考えますが、インドネシアではどこもかしこも渋滞しているという事情もあり、面接開始時刻など指定した時間に遅れずに来る人はほとんどいません。これは仕事をしている人も同様で、インドネシアの企業担当者に会う約束をして時間通りにオフィスに行き、担当者が不在のまま1時間ほど待たされることもしばしば。いくら文化の違いがあるとはいえ、このような状況が続いては少々腹立たしさを感じずにはいられません。

しかし、現地のスタッフに「ここはあなたの国ではない。日本の文化を押し付けるだけじゃなくて現地の文化も理解して欲しい。」と言われ、そこで初めて「はっ!」と気付かされたのです。私は自分の物差しに合わせた行動を相手に求め、相手に期待しすぎて「時間を守るのは当たり前」「約束の時間より前に行動するのが当たり前」と考え、勝手にイライラしていたのだと。このように、無意識に自分の価値観を相手に押し付けてしまうことでトラブルが発生することは、日本人同士でも起こります。まして、言語も文化も違う海外では、なおさら日本人同士以上に相手の立場を尊重して行動・発言をする思いやりが大切だと痛感したのです。

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好奇心で行動する選択肢も時には大事!

私はインドネシアにいた4年間で、海外就労を希望するたくさんの日本人の求職者のサポートもしてきました。大学4年生から60代の方まで、中には海外経験のない方や英語でのやりとりが苦手な方もいました。「憧れていた海外で挑戦してみたいと思っていた」「留学経験などを活かす仕事に就きたい」「自分の経験が海外で活かせるか試してみたい」など、その方々の海外就労を希望する理由は様々です。

中には、海外就労は楽しいことばかりではないという現状を伝えると、日本での転職活動に切り替える方もいますが、最終的に海外で仕事に就くことができたのは、自分の中にある海外生活への好奇心や挑戦の気持ちを大切に一歩踏み出してきた方々です。今では、週末にリゾート地でリフレッシュしながら日々の仕事に臨んでいる方もいれば、少しずつ現地の言葉を覚え、現地ならではのゆったりとした時間の流れを楽む方もいて、そういった多くの方々の表情が以前よりも明るくなったように感じました。

現実的な問題ばかり見ていると足がすくんでしまうかもしれませんが、ときには自分の中に生まれた好奇心に突き動かされてみるのもいいのではないでしょうか?素敵な未来が待っているかもしれませんよ!

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海外での生活を考えたときはまず話を聞いてみてください!

日本に居ると多くの求人があり、自分の条件に合うアルバイトや就職先を見つけることはさほど難しいことではないかもしれません。しかし、日本人が海外で働くためには就労ビザが必要であり、その他にも様々な条件があるため、入社できる企業が限られます。さらに、自分が考えるタイミングと企業が採用したいタイミングが合わない場合もあるでしょう。そうなるとますます就労できる企業が限られてしまいます。

ですから、今すぐにではなくても将来的に海外就労を視野に入れている方は、早い段階で一度、就職エージェントに相談し希望条件を伝えることをお勧めします。その時点でご希望に沿った求人がなくても、求人が出てきた時にご紹介することが可能です。読んでくださった皆さん、好奇心に従って新たな一歩を踏み出したいと思った時には、ぜひ、私たちのようなエージェントに声を掛けてください!

 

2017年
アジア言語学科インドネシア語専攻
高橋 優里

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