本物の英国文化を体現させるために

第3回 対談 佐野隆治会長×川田雄基ブリティッシュヒルズ名誉館長『和の精神が実現させた福島の英国』

本当の疑似体験じゃないと意味がない
偽物はつまんないよね。飽きるよすぐに

佐野会長:正直言って、僕らにはイギリス文化の深いところは分からない。だから、川田さんにお任せでしたね。ポートレイトギャラリーを作るときも、「なるほど、そんなもんかい」と納得してお願いした。

川田館長:私にすればフリーランドをいただいたわけです。

佐野会長:どうにか建物はできた。でも、思い入れをいれなきゃならない。こだわりとでも言うのかな。オープンした頃は経営的には厳しかったけど、何もかもが初めてで、おもしろい時代でもあった。バトラーもいたし。

川田館長:まさに西部開拓時代でしたね。まぁ、これを言っては身も蓋もないですが、こんなバラバラに建物を建てなければ、わざわざマントを着て、雨の中を宿泊棟からゴツゴツとした石畳を歩く必要もないわけですよ(笑)。でも、それじゃあ、つまんねぇだろう、っていうのが、会長の発想でしたね。

佐野会長:やっぱりね、本当の疑似体験じゃないと意味がない。偽物はつまんないよね。飽きるよすぐに。それに学ぶ意味がない。明治維新のときだって、鹿鳴館を作って、ダンスを踊って、なんとなく欧米を理解していった。知らない文化に慣れるには、場がなきゃダメなんですよ。ブリティッシュヒルズのような場があれば、なんとなく外国を感じられますからね。鹿鳴館の時代の日本人は、洋服を着て、ダンスを踊って外国に慣れていっても、内面にある日本人としての精神性は変わらないんです。

川田館長:確かに場は大切ですよね。それも本物の場。ペンキ塗りのお化け屋敷じゃ困る。今の日本は、すべてがペンキ塗りのプレハブです。でも、ここには本物があります。本物があることを我々は誇りにしなければならない。

佐野会長:文化っていうのは、蓄積するのにどうしても時間がかかるね。オープンして15年経つけど、まだ積み重なっていない。川田さんの知識をどんどん吸収してくれる人がもっといるといいんだけどな。

川田館長:文化は、「ボタンを押せば出来上がり」とはいきませんからね。(2/4)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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