神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第16回 佐野隆治会長『スポートのいらない英国を創る』

ずっと本物にこだわってきたから、英国大使にも
ここには我が国の文化がある、と言っていただける

マナーハウスを建てるのであれば、紋章(エムブレム)がなければならない。武士の紋所と同じですね。中央にあるのは、学びという炎によって進むべき道を照らすトーチ(灯火)です。楯には、「RS」は僕の名前、Ryuji Sano のイニシャル、青と赤の佐野学園のシンボル、オークの木、そして学びの象徴である本が描かれています。楯を支えるのは純血と正義の象徴、一角獣です。“PAX PER LINGVAM”は、建学の理念「言葉は世界をつなぐ平和の礎」のラテン語です。佐野学園、ブリティッシュヒルズの理念が凝縮されているのです。

平成6(1994)年7月、国際語学研修センター「ブリティッシュヒルズ」がオープンしました。同時に川田雄基さんが館長に就任してくれました。川田さんは、イギリスと縁がある家系にお生まれになり、文化や歴史に関する造詣がものすごく深かった。その川田さんが三菱商事を辞めて、来てくれた。文化を創り、伝えていくのは、命がけの仕事です。川田さんなら、命をかけて、本気でやってくれる。いやぁ、本当にタイミングがよかったね。(※1)

川田館長はイギリスの伝統と文化に基づいて、提案をしてくれましたね。マナーハウスの2階の長い廊下には、壁に何も掛かっていなかった。川田館長に相談すると、「本来、廊下には先祖代々の肖像画を飾るものです。お父様の肖像をかけてみてはいかがでしょう」なんて言う。「よせやい」と僕が言うと、「では、イギリスと日本の交流で尽力された方々の肖像をかけましょう」と提案してくれたんです。それが、ポートレイトギャラリーです。

食事をするリフェクトリーには、旗がずらりと掲げられています。オーク材を提供してくれた村々の村旗です。小さな村の旗なんて調べようがない。ベッキーというイギリス人の先生がいましてね。彼女が調べてくれたんです。

オープンしてからもそうやって本物を作ってきた。最初は本物のバトラー(執事)までいたんですから。本物にこだわってきたから、アンバサダーズ・カップでイギリス大使がいらっしゃっても、「ここには我が国の文化がある」とおっしゃっていただける。その言葉が本物であることの証でしょうね。(6/8)

  1. 本サイトの第6回で『本物の英国があることに誇りを持つ』に掲載。
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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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