神田外語大学同窓会

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自分を信じてブレない人生が幸せをつかむ?!

みなさんこんにちは。2010ILCポルトガル語専攻卒業のメイヤー(旧姓 南)沙代子です。ハワイの大学院で出会った米国籍の彼と知り合い、メイヤーとなりました。あっという間の卒業後10年。高校時代から持っていた日本語教師の夢は実現してこそ次が見えるのではと思う今日この頃です。

そうだ 海外で活躍する日本語教師になろう!

海外で日本語が学ばれているなんて知らなかった・・・その事実は私の脳裏に色濃く焼き付きました。それは高校時代のことです。以来、夢となった日本語教師の道を実現化させるべく神田外語大学へ入学。毎日辞書とにらめっこしながら、日本語教師養成課程を副専攻で履修し日本語教師として資格は取ったものの、先進国でキャリア皆無・学歴学士のみの私が採用される可能性は限りなくゼロという現実。。。

東南アジアなども含め現地採用枠を探すも、帰国時の飛行機代もままならない給与水準に途方にくれていた矢先、国際交流基金(※1)で若手日本語教師を約1年間東南アジアへ派遣するプログラムをみつけ、卒業後すぐにフィリピンへと飛び立ちました。

フィリピンではマニラにある二つの公立高校でチームティーチングとして、約500人の学生に日本語を教えることに。ちなみに現地の日本語教師は、学校から辞令を受けた先生が担当教科に加え教えることが一般的。その後JET(※2)プログラムを通じて日本に在住するほど日本語教師の仕事を楽しんでいる先生もいれば、しぶしぶ教えている先生まで温度差はまちまちです。先生が教室に現れず、独り舞台なんてことも日常茶飯事。それでもずっと夢見てきた仕事をしている事が嬉しく、生徒も素直で可愛い子ばかり。充実感ある教師生活のスタートでした。

フィリピンでの派遣契約が終わるころ、国際交流基金とローラシアン協会(※3)合同の派遣プログラムに応募。スーパーバイザーとのチームティーチングとしてハワイ州の公立中学校へ派遣されることになりました。

まず驚いたのはフィリピンとアメリカの差。フィリピンでは先生が用意する印刷物に費用が掛かるため、生徒たちは大切に物を扱いますが、アメリカでは真逆!配ったそばから「どうせ見ない」と床に捨てるような状態。ただ、日本語を教える専門の先生に囲まれていたので、教え方や生徒への接し方など多くのことを学ばせてもらいました。この経験が私の日本語教師としての軸になっています。

大学院へ進み大きくステップアップ!

大学時代の恩師である故ブルース・ホートン教授から、いずれは大学院へ行くべきだと仰っていただいた事が日本語を教えながらも忘れられず、全米一規模の大きい日本語学科があり、著名な教授が多数在籍されているハワイ大学の大学院を目指すことに。ハワイでの派遣期間を終えると同時に受験準備に入りますが、同時に留学費用を貯めないといけないので、国際交流基金のKAKEHASHIプロジェクト(※4)に携わりながら準備を進めることにしました。

米国の大学院受験では、志望動機や推薦書に加えGRE(※5)というアメリカ人も含めて大学院を受ける人に必要な試験があります。科目は英語、作文、数学ですが、実は私、大の数学嫌い。久々に泣きそうになりました。苦労しながら何とか受けますが、結果は「I regret to inform you…」の残念便が届くのみ。それでも懲りずにもう一度挑戦することに。

初めての受験時は周りに迷惑をかけたくないという気持ちが強く、英語による提出書類のネイティブチェックはごく一部にとどめていました。二度目は背に腹は変えられぬ!と全ての書類を片っ端からネイティブの同僚や友達に見てもらい、中でも重要な書類は二人以上に添削をお願いする徹底ぶり。結果は合格!

晴れて大学院生になりますが、常に数十ページの論文を何種類も読み込み、プラス自分の意見・質問も準備して各授業に参加する日々。常にカバンの中は論文とメモだらけ・・・レポート作成も地獄!ライティングセンター(ライティングの助けが必要な学生向けに、英語を主専攻にしている大学院生がライティングや添削を手伝ってくれるセンター)へ日々通ってはアドバイスをもらっていました。このとき手を差し伸べてくれた大学院生が後に私の夫になります。

アメリカの大学院では、ティーチングアシスタントという選ばれた大学院生が大学生の基礎科目などを教える代わりに、授業料免除・少額ですが給料をもらえる制度があります。自分のスキル維持も兼ねて、私も日本語の初級クラスを担当させてもらいました。

クラスには60歳超の学生やフルタイムで働いている学生など様々。年齢や環境は様々でも学びを諦めない姿勢は、時としてマイナス思考になっていた私をプラスに戻してくれました。日本語教師として働く上で切磋琢磨しあえるクラスメイト、頼れる恩師との出会い、そして何より教師としての自信に繋がる経験でした。

大学院で出会った彼と結婚・そして子育て

大学院を卒業後、ハワイにある中高一貫の私立学校でフルタイムとして働きました。念願のマイクラス。初めて一人前の日本語教師になれたような気がしました。振り返ると「自分を信じてあげた自分」が夢を実現したのだと思います。正直、途中でめげそうになることもありましたが、ブレなかった自分を褒めてあげたい!()

その後結婚をしますが、出産のタイミングで一度日本語教師の仕事を離れることに。アメリカでの育休期間は有給(もらっているお給料の60%)扱いですが、6週間ほどと実は長くありません。そのため多くの妊婦さんは出産予定日ギリギリまで働き、出産後にまとめて休みを取るケースがほとんど。

この間に仕事を続けるか、辞めるのかを勤務先に伝えなければいけません。私も夫もハワイには頼れる親戚がいないため、出産を機に一旦仕事を辞めることにしました。何もかもが初めての二人ですから、すべてがバタバタです。さすがに見かねた義母が2週間ニューヨークから助けに来てくれました。今でも義母なしでは無理だったと思う大変な産後でした。

また、子供を預けるにしてもハワイには私立の保育園しかなく、しかもとても高額!(※6)私のお給料を考えるとこれだけの高い保育料を払って無理にフルで仕事復帰するよりも、今は子供との時間を優先することがベストであると考え、復帰を少し延ばすことに。

そして、復帰を伸ばした最大の理由は言語教育です。子供達には日・英の二か国語を話せるようになってほしいと考えています。年少期に私と時間を過ごすことで少しでも日本語を聞く・話す環境を作ってあげたいと思い、出来る限り日本語で話しかけるようにしています。

1歳半の時点では、聞く頻度の高い言葉、いいやすい言葉を、子供ながらに使い分けているようです。

例えば。。。
私とお風呂に入る方が多いので「bath」よりも「お風呂」や、「お母さん」よりも「mama」の方が言いやすいので「mama」など

出産前は勉強も仕事も自分が頑張れば結果を出せる世界でしたが、「自分の頑張り=自分の望む結果」に繋がらないのが子育て。でも子供って本当に面白いなと達観している自分がいます。

こぼした味噌汁、スプーンでかき集められると思ってる!とか、ペットに「NO!」という時、めっちゃ意地悪な顔してる!など、いつも新しい発見があるんです。

最後に

自分の子供に望むことは、相手の言動に左右されず自分の考えを軸に物事を考え行動できる「自分を愛する子、自分を信じる子」であってほしい。これまで出会った人たちの中で、自分を愛している人がどの国でも一番幸せそうに見えるからです。

今、二人目の女の子を妊娠中で20213月末に出産予定ですが、夫と私がそのファシリテーターになれるよう今後も見守っていきたいと思っています。そして、教えることが大好きな自分が今後どのように成長するのかが実はとても楽しみ。また機会があれば日本語教師に復活した自分をご報告できれば幸いです。

2010年卒業
ILC
ポルトガル語専攻
メイヤー(旧姓 南) 沙代子

参考情報

チームティーチングを目指す上での注意点
チームティーチングという形で海外勤務経験があっても、日本語教師関係の仕事に就活する際にチームティーチングの経験はフルで教えた年数(教師歴)として数えてもらえない事がほとんどです。日本国内の日本語教師の就職先を見ると「2年以上教えた経験がある者」など条件があるお仕事には応募できない事が多いです。チームティーチングという形で日本語教師の仕事をする場合はその点も念頭に置いておくと後々驚かなくて済むかと思います。

※1 独立行政法人国際交流基金
独立行政法人国際交流基金(The Japan Foundation)は、総合的に国際文化交流を実施する日本で唯一の専門機関です。海外で日本語教師としてチャレンジしたい方はこのサイトをチェックしてみてください。
https://www.jpf.go.jp/j/

※2 JET
JETプログラムは、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称で、地方自治体が総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施しています。
http://jetprogramme.org/ja/about-jet/


※3 ローラシアン協会
ローラシアン協会では、2002年度より(独)国際交流基金日米センターと共同で「JOI (ジョイ、英名: Japan Outreach Initiative、和名: 日米草の根交流コーディネーター派遣)プログラム」を実施しています。

https://alpha.japantimes.co.jp/abroad/2018autumn/jpf/

国際交流基金日米センター
https://www.jpf.go.jp/cgp/fellow/joi/

 ※4 KAKEHASHIプロジェクト
私が参加したプロジェクト内容は、日米の高校生・大学生1000人を対象にした2週間の研修プログラムに対し、国内の高校への説明会や、渡米時に引率として国内・海外出張などを行うことでした。

<参考URL>
https://www.jpf.go.jp/j/project/intel/archive/youth/kakehashi/

※5 GREとは
Graduate Record Examination の略で、アメリカにて文系、理系いずれもの専攻科目の修士号、博士号を取得するために必要とされるテストです。

※6 ハワイの保育園事情
ハワイには私立の保育園しかなく、しかも保育料がとても高いのがネック(超低所得者層には特別の助成金があります)。例えば、NPOでも保育園にフルで入園させると月に約$1,400(1ドル104円換算の場合14万円ちょっと)、モンテッソーリなどの良い保育園だと月$2,000(1ドル104円換算で約20万円)程度かかりますのでしっかり調べて検討する必要があります。

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