本物の英国文化を体現させるために

第4回 ジョン・スチュワート・レナルディ ブリティッシュヒルズ元儀典官『英国文化を代弁する責任を担って』

ブリティッシュヒルズでイギリスを具現化するのは、
日本人ではなく、我々イギリス人の責任だった

我々外国人スタッフの責任は、ブリティッシュヒルズを真のイギリスにすることでした。とりわけ、イギリス人である私や、バトラーのピーター、そしてイギリス文化に精通した川田館長の役割です。だから我々はイギリス英語のアクセントで話したし、館内ツアーをするときは英語で説明をして、ジョークやユーモアも織り交ぜた。それがイギリスの文化ですからね。

川田館長、バトラーのピーター、そして私は、とても気の合うチームでした。我々は誰も、「私はボスだ」「私はバトラーだ」「私はホテルのマネージャー」だなんて主張しませんでした。我々はよく、イギリスの古いコメディを実演しました。川田館長は、イギリスの演劇にも造詣が深かった。

マナーハウスの2階へと続く正面の階段では、3人でダンスをしたこともあります。とにかく3人で楽しみました。ブリティッシュヒルズには、イギリスの文化を再現するのにうってつけの環境があった。我々3人は、「俺たちが死んだら、ブリティッシュヒルズに埋葬してくれ!」とよく言っていたものです。

クリスマスには演劇をやりました。シャーロックホームズです。スタッフは全員が出演します。ピーターはいつもホームズ役で、私は犯人役です。とても楽しかった。そして、新年になるとパーティーです。バグパイプを吹いて、ハギスを食べる。イギリスの風習をそのまま再現しました。

我々はみな、ブリティッシュヒルズの募集広告の文言を大切にしていました。そこには「イギリスの大使になりませんか?」とありました。我々はイギリスを代表する大使であり、ブリティッシュヒルズでイギリスを体現するのは我々の役目である。そう思っていたのです。日本でイギリスの文化を代弁する責任を与えられている。そんな責任を感じているイギリス人がブリティッシュヒルズに参加していたのです。とても素晴らしいことだと思います。

ですから、休みの日であっても、私は襟付きのシャツを着て、ネクタイを締めていました。ジーンズははかなかったし、短パンはテニスをプレイするときぐらいです。ブリティッシュヒルズはイギリスを具現化する。私はそのコンセプトに忠誠を尽くしました。我々がブリティッシュヒルズをイギリスにするのです。それが、我々がブリティッシュヒルズに存在する意義です。

開業当時、日本人のスタッフは裏方でした。我々外国人スタッフが前面に出て、日本人が支える。ブリティッシュヒルズをイギリスにする責任は日本人にはありません。日本人はイギリスを深く理解していないし、それは当然です。ここをイギリスにするのは、我々、イギリス人の責任だという自負がありました。(7/9)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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