神田外語大学同窓会

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仕事も子育ても文化の違いを楽しみながら

みなさんこんにちは。神田外語大学の中国語学科2005年度卒業の寺嶋です。この度、ご縁と機会に恵まれて、本ブログにて私の上海での生活を紹介させていただくことになりました。

私は元々香港が好きで、高校から中国語コースがある高校に進学し、本学でも中国語を専攻していました。卒業後、日本で就職しましたが、1年で退職し、「若い今のうちに!」と単身香港へ向かい、現地で仕事を探したのです。

一言で中国語と言っても、中国7大言語といわれるように、地方によって全く別の言語と言っていい程大きな違いがあります。ビジネス面で言うと当時の香港では北京語だけでは厳しかったため、広東語も習得する必要がありました。

そんな生活を7年送った後、日本へ帰国し、現在の勤務先である山崎製パン株式会社へ中途採用で入社しました。その後、上海ヤマザキに赴任し、現在6年目になります。

ビジネスの進め方が異なる日本と中国

上海ヤマザキは2004年に上海へ進出して以来、主にショッピングセンターでリテールベーカリー店舗を運営しており、現在は上海を中心に15店舗を展開しています。私の主な業務は、新店舗の立ち上げ業務、プロモーション、テイクアウトデリバリー、SNSの運営管理など多岐に渡ります。

上海で業務をする上で感じているのは、「既成のやり方や形に固執せず、やりたいことがあればチャレンジする精神が大切。躊躇しないで、うまくいかないかもしれないけれど、意外な道があるのだからやってみよう。」ということ。

香港ですでに業務経験もあり、ある程度のスピード感を持って進めることや、自己主張もできると思っていましたが、上海のビジネスの流れは香港とは全く異なり、まだまだ経験と学びが足りないと感じる毎日です。

中国では、多くの方が自信に満ち溢れ、積極的にビジネスを展開しています。また、14億人と人口が多いため、小さい時から競争心が植え付けられています。仕事は見切り発車で始めても、途中で修正してどうにか形になることが多々あります。

日本では、まず綿密に計画を立て、周りの了解を得た上で進めていきますが、それでは時間がかかり、計画が一度進んでしまうと軌道修正が難しいため、こちらではあまり好まれません。

もちろん、日本の技術がここまで世界に認められているのは、日本人のモノづくりに対する技術力の高さ、勤勉さによるものであり、日本ならではの進め方を否定している訳ではありません。

上海ヤマザキも、日本の高い製パン技術と安全衛生管理のおかげで、今日まで多くの現地のお客様にご来店いただいていますが、現地ならではのビジネスバランスとスピード感、そしてタイミングが重要な業務もあるのです。

何事にも良し悪しはあるので、自分のやり方に固執するのではなく、そこのやり方を自分なりに分析し、良いところは取り入れたり、自分流にアレンジしたりして、業務を進めていくよう心掛けています。

言い換えれば、やる気があれば仕事を任せてもらえるし、失敗しても臨機応変に挽回できるチャンスもあるので、それはそれで良いビジネススタイルだと思っています。

中国人の夫との中国での子育てはポジティブ思考で

 少し、プライベートの話をさせてください。私には、中国人の夫と三歳になる息子がいます。上海で妊娠・出産しました。幸い、私も息子もとても健康であり、結婚・出産によるキャリアへの影響はほとんどありませんでした。これは上海ヤマザキの従業員の3分の2が女性であり、幹部もほとんどが女性であることに起因しているのだと思います。「出産?いってらっしゃい」「あら、おかえりなさい」のような気軽さです。

中国では、子供の面倒は祖父母が見て、両親は共働きをするのが一般的です。私の場合は、祖父母が両家共に遠方に住んでいるため、生後2ヶ月で住み込みのベビーシッターを雇い、その後1歳半で延長保育のある保育園に入園させました。

住み込みのベビーシッターが朝から晩まで息子に付きっきりで面倒を見てくれたため、母親の私にとっては少し寂しい時期もありましたし、日本と中国の子育ての違いに戸惑うこともありました。

けれども、ベビーシッターは息子をとても可愛がってくれるだけでなく、住まいの近隣の人たちは、寒い日に息子の着ている服が薄いと心配してくれたり、ムスッとしていたおじちゃんの顔が息子を見ると急にクチャッと笑顔になるのをみて、何となくほっこりしたものです。

中国では子供を可愛がる風潮が強く、日本で時々言われるような子連れに対するハラスメントを感じたことがありません。ですから、人に迷惑をかけないようにと自分たちの殻に閉じこもるのではなく、周りの人を頼りながら子育てができるのはとても良いことだと思っています。

家事分担に関しては、夫もすべてこなせるのですが、現時点では、息子の送り迎えやお風呂などの育児は夫が担当し、食事、洗濯、掃除などの家事は私が担当しています。もちろん、お互いの仕事の関係で、その都度、臨機応変に柔軟に対応しています。

これは万国共通だと思いますが、家族を持つようになって、家計管理や時間管理、効率的な家庭の運営には、仕事と同じようなマネジメント能力とチームワークが必要だと実感しています。そして、仕事においても効率化を重視し、無駄を省くことをより意識できるようになったと思います。

上海に赴任し、家族を持って感じたことは、何事も考えすぎず、思いついたらやってみること。思い通りに行かないことがあっても、自分で解決策を考えたり、誰かに聞いたりしながら前に進んでみる、ということです。

人によっては、失敗したらどうしよう、断られたら恥ずかしい、と思うかもしれませんが、やらなきゃ損、言わなきゃ損なのです。ポジティブ思考の中国人夫には、やってみなければ分からないじゃない、どうして言わないの?と不思議がられます。ですから、これからも文化の違いを楽しみながら、仕事と子育てに奮闘していきたいと思います。

2005年卒業
神田外語大学中国語学科
寺嶋 春菜

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