異文化理解の先駆者たち

第9回 スターリング・M・プラタ『自立した学習者の育成が国の競争力を高める』

ASEAN経済共同体での競争力を高めるには
自立した英語学習と異文化理解が必要

平成27(2015)年12月31日、ASEAN経済共同体(AEC)が発足した。10カ国が参加し、域内の総人口は約6億2000万人に上る。総生産額2兆5000億ドル(約300兆円)という巨大な経済圏が動き始めた。プラタは、AEC域内での経済活動が活発化することを前提に、英語教育も見直さなければならないと指摘する。

「AECでの共通語として英語はどのようなものになるのか、強い関心を抱いています。ASEANの各国では、それぞれ異なる英語が話されていますから、私たちは多様な英語を理解し、話せるようになる必要があります。大学で教える英語のスピーキングの授業も変えていかなければなりません。異文化コミュニケーションの視点も重要です。文化が異なれば、話してよいこと、いけないことも異なります。相手に失礼にならない会話の方法や話題を学ばなければなりません。コミュニケーションをする相手の文化と規範を学ぶ必要があるのです。

ブルネイでは莫大な予算をかけて、米国ハワイ州の研究機関、イースト・ウエスト・センターで政府官僚の英語研修を行っています。今後、フィリピンはシンガポールやブルネイといった国々と競っていかなければなりません。フィリピン人の英語力が劣っていれば、遅れをとることになります。私は、フィリピン、そしてASEANにおける英語教育に、学生の自己評価を導入することを目指して研究と教育の活動を続けていきたいと考えています」

新たな経済圏の登場によって、ダイナミックな人的交流が始まろうとしているASEAN。自国の経済を強くするためには、自立した英語学習が必要だとプラタは指摘する。日本もまた、グローバル化のうねりのなかにいる。日本人がアジアをはじめとする諸外国の人々と渡り合っていくためには、英語のコミュニケーション力を高めることは不可欠である。自発的に他者と交わりながらコミュニケーション力を高め、継続して学び続ける自立学習。神田外語大学が先駆的に取り組んできたその教育手法が真価を発揮する時代が訪れたと言えるだろう。(4/4)

スターリング・M・プラタ(Sterling M. Plata)
昭和40(1965)年、フィリピンのラグナ州に生まれる。平成10(1998)年、デ・ラ・サール大学で文学博士号(言語および文学)を取得。企業における職業訓練としての英語研修のカリキュラムづくりなどに携わるとともに、学生が自立して学び続ける「ポートフォリオ評価」の研究と実践を続けている。東南アジア諸国全体の英語教育の改革にも熱心で、平成12(2000)年4月には、東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)地域言語センターから「言語に関する試験と評価における専門家」の認証を取得。現在は、デ・ラ・サール大学の英語・応用言語学部で准教授を務める。

学校法人佐野学園:理事長室・いしずゑ会
〒101-8525 東京都千代田区内神田2-13-13
TEL: 03-5289-8828

法人本部広報部 渡邉公代
TEL:03-3258-5837

写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

本ページの記事・写真等及びコンテンツの著作権は、
神田外語いしずゑ会、写真家または情報提供者それぞれに帰属しています。

閉じる