異文化理解の先駆者たち

第8回 ネスター・カストロ『文化を学び、異文化をつなぐ懸け橋となる』

文化とコミュニケーションの両方を学ぶことが
世界で生じている問題を解決する糸口となる

カストロはフィールドワークから大学に戻ると、現地で得た経験を学生の教育に反映する。人類学を専攻したものの、卒業後は教員か学芸員ぐらいしか道がないと思い込んでいる学生も多い。文化の理解が多国籍企業の海外進出で重要な役割を担うというカストロの話を聞くと、学生たちは目を輝かせる。人類学、そして異文化コミュニケーションは実社会で役立つ実学的な学問でもあるのだ。

「異文化コミュニケーションは、数多くの専門領域にわたる学問です。マスコミュニケーション、人類学、社会学。文化と文化の間で衝突が生じることもあるので、政治学も関係してきます。異文化コミュニケーションは、まさに専門領域をつなぐ学問であり、だからこそ将来性があると私は思います。

人類は本当に多くのコミュニケーションを必要とします。たくさん話し、ボディーランゲージも使う。しかし、メッセージは必ずしも相手に理解されない。それは、互いの文化的背景を理解していないからです。文化とコミュニケーションは切り離せません。社会で起きている問題の多くは、コミュニケーションの欠如が原因です。異文化を理解し、コミュニケーションを成立させる異文化コミュニケーションは、世界の問題を解決するための有効な手段なのです」

インターネットの発達によって、私たちは世界中の人々とリアルタイムに交流できる手段を得た。だが、異なる国や地域、そして民族や宗派における文化の違いは依然として存在する。簡単に交流できるようになったからこそ、文化とは何かを学び、異文化に対する感性を高めていかなければ問題も生じるのだ。

カストロが指摘するように、相手の話している言葉が分かっても文化的背景が分からなければ、何も理解できていないのに等しいのである。神田外語グループが推進してきた異文化理解教育は、社会のグローバル化が急速に進む今だからこそ、その重要性を増していると言えるだろう。(4/4)

ネスター・カストロ(Nestor Castro)
昭和34(1959)年、フィリピンのパッシグ市に生まれる。小学生のときに友人から18世紀のコインを貰ったことから文化に関心を持ち、文化人類学の道へ進む。フィリピン大学人類学部で博士号を取得。その後も同学部で教え続け、平成22(2010)年8月には学部長に就任した。文化人類学を専門とし、民族間関係や先住民問題などを研究テーマに、フィリピン北部の山岳地帯、東南アジア諸国やミクロネシアでも調査研究を実施。現在は国際社会科学団体連盟(IFSSO)の会長も務める。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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