KUISデータサイエンス・AI基礎教育プログラム

「KUISデータサイエンス・AI基礎教育プログラム」の学びの特徴

1.外国語学部の1年生が必修の「基礎演習Ⅱ」で、Tableauを用いたデータの可視化・分析方法を学びます。


2.グローバル・リベラルアーツ(GLA)学部の「データ・サイエンス概論」と「エビデンスと評価」の受講者はExploratoryとR Studioを用いて、機械学習や統計的な因果推論を学びます。


3.GLA学部の「ビッグデータ解析論」や「データ・サイエンス概論」「エビデンスと評価」では、PythonやR言語のプログラミングやそれらを用いた分析を学びます。

データサイエンス・AI教育の3つの柱

  • ① 可視化による説明

    数字を使って現象、事実をわかりやすく、かつ正しく説明します。

    この力を伸ばすことを狙いとした授業では、観光、環境などのテーマに基づく国内外の様々なリアルデータを入手し、Tableau、Exploratoryなどのモダンなツールを使い、誰もがぱっと見て傾向(大きさ、割合、変化、散らばり、関係性など)がわかるようにデータを可視化します。

    そのうえで、「Story telling with data」という言葉の通り、正しいデータの読み取りとそれに基づく推察や考察を重ねたストーリーを伝える力を養います。

  • ② 予測・分類

    データにもとづいて、今後どうなるのかを予測したり、対象を分類したりします。

    この力を伸ばすことを狙いとした授業では、データから人や組織の行動を予測・分類する分析の練習をしながら、機械学習と呼ばれる手法を学んでいきます。

    そのためのツールとして、Exploratoryというノーコード(原則としてプログラミングが不要な)ツールを主に使用します。ノーコードでも複雑な分析にトライすることで、予測・分類の方法や結果の解釈などを考える面白さを体験してもらいます。

  • ③ 因果推論

    最も関心のある原因Xが、関心のある結果Yにどのような影響を与えるのかを、データから推論します。

    この力を伸ばすことを狙いとした授業では、データからの因果推論に関する基本的な考え方を最初に解説したうえで、ExploratoryやR Studioを用いて、因果推論をするための応用的な手法を実際に体験してもらいます。さらに、体験から学んだ因果推論の手法をリアルデータに応用し、各学生が関心を持つ原因Xと結果Yの関係の検証にトライしてもらうようにしています。

    因果推論の例)クーポン発行を処置とし、それが新商品購入の有無という結果にどう影響するか、特別な情報を含む広告の掲示という介入が、有料会員になるという結果にどう影響するか、などを推論。

データサイエンスは数字を使ったコミュニケーション

グローバル・リベラルアーツ学部教授 / 学長補佐
石井 雅章
「データサイエンス=理系・数学」と思っていませんか?データサイエンスは理系・文系に関係なく誰でも使うことができる便利な思考&手法です。

神田外語大学のデータサイエンスでは、数学そのものを学ぶのではなく、世の中の事象を数字から読み取り、的確な言葉と表現で説明する能力を養います。数学じゃない!これが大事なポイントです。

専門的かつ、幅広い国際教養と言語を学ぶ本学の学生は、国際機関などが開示している英語のグローバルデータを読み解くことに長けています。
研究対象の国や地域の現状を翻訳資料に頼らずダイレクトに把握できるのは大きな強みです。現状を的確に理解することは、その国や地域で起こっている問題への解決に大きく寄与します。問題の背景や構造を知るためには多方面に事象を捉えることが求められます。

世界各国の現場へ出向く力、現地の人とコミュニケーションを図る力に加え、信頼性の高いデータを分析し、数字で事象を読み解く力は、国際社会で生き抜くための強い武器となるでしょう。

データサイエンスはあなたの“好き”を探究する強いパートナー

データサイエンスを活用することで、あなたの学びや研究がよりゆたかなものになります。
まず、「なぜそのようなことが起こっているのだろうか?」などの自分なりの「問い」をもっている人にとっては、数字で事象をとらえることで、その「問い」へのこたえに近づくことができます。

また、ある問題を解決したいという課題解決への意欲をもっている人は、数字を使って現状を客観的に把握することで、自身が抱く理想の状態とのギャップを埋めるための具体策を練ることができます。
そして、好きなものや興味・関心のある地域や文化をもつ人にとっては、関連するデータを読み解くことで、自身の「好き」の理由や背景を探究し、理解を深めることができるのです。

ゆたかな国際教養と高度な言語運用能力を身につけ、データを共通言語としてコミュニケーションができる人材は、これからの国際社会に於いても重要であり、必要不可欠な存在となります。

グローバルな視点から、世界や国内のさまざまな現象を分析する

教育イノベーション研究センター講師
井芹 俊太郎

神田外語大学の学生はデータサイエンスを学ぶことで、国際社会で活躍するための強い武器を得ることができるでしょう。

本学の学生は、国際的な課題や情勢、国内の様々なトピックなど関心の幅が広く、それぞれから話を聞くと、多様なテーマのユニークな問いを抱いている学生が少なくないように思います。

そのユニークな問いを、データサイエンスの学習で得た力を活用して検証していくことで、それぞれの探求活動の深化に加えて、キャリア選択の広がりにも繋がると思います。また、グローバルな学びとデータサイエンスの学びの相性も良いと考えています。なぜなら、グローバルな視点から「縦断的」な問い、「横断的」な問いを発想することは少なくないためです。

たとえば、1900年頃~2000年といった時点の違いによって世界のCO2排出量にどのような変化があったのかという疑問は縦断的な問いであり、A国とB国の間で2023年の感染の広がりはなぜ違うのかといった疑問は横断的な問いに当たります。これらの問いを検証するためには自ずと、データの収集と分析が必要になります。

さらにもう一つの理由は、グローバルな学びで得る自然言語運用能力(特に英語運用能力)が、データサイエンスの学びで扱う人工言語(プログラミング言語)運用に活きる場面があるためです。英単語の知識や英文の構造を捉える力は、自身でコードを書いたり、さまざまな英語で書かれた解説や事例を読んだりする際に必ず活きるでしょう。

データ分析の知識や分析用のツールやプログラミング言語の運用能力は、言語の壁を越えて、世界共通のコミュニケーションツールになると思います。英語や地域言語などの自然言語運用能力に加え、データ分析能力や人工言語の運用能力を手に入れることで、人・数字・AIなどさまざまな相手と対話できる新しい時代のグローバル人材へと成長し、将来、海外留学やビジネスをする際にも活躍の場がきっと広がるでしょう。

データサイエンスは5つの“測る“がキーワード!

1.大きさを測る

例)難民数・・・どの地域に、どのタイプの難民が多いのかをみる

2.変化を測る

例)CO2排出量・・・1990年以降の排出量の推移をみる

3.割合を測る

例)部門・産業別のCO2排出量から特定の部門・産業が占める割合をみる

4.散らばりを測る

例)各国のSDGsの目標別スコアの分布から達成状況の散らばり具合をみる

5.関係性を測る

例)SDGsの目標を2つ選択して、それぞれのスコアの分布から目標間の関係(正の関係、負の関係、無関係)性をみる

本プログラムで身につく力

  • デジタル情報やAIの特性を説明することができる

  • データやAIが社会の中でどのように活用されているかを説明することができる

  • 適切なツールを用いて具体的なデータの処理・分析を行うことができる

  • 具体的なデータを分析した結果を他者に説明することができる

  • データやAIの活用におけるリスクや留意事項を説明することができる

本プログラム修了要件

※本プログラムは、文部科学省が推奨する「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」に対応しています。(認定プログラム化に向けて2024年度に申請予定)

外国語学部 (2023年度以降の入学者対象)

本プログラムを修了するには、以下の6 単位を 全て 修得してください。
科目名 履修年次 単位数
基礎演習Ⅰ 1 2
基礎演習Ⅱ 1 2
情報基礎Ⅰ 1~4 1
情報基礎Ⅱ 1~4 1
※さらに理解やスキルを高めたい学生には「統計学Ⅰ」「統計学Ⅱ」の履修も推奨します。

グローバル・リベラルアーツ学部

本プログラムを修了するには、以下に示す科目から必修2単位を含む4単位を修得してください。
科目名 履修年次 単位数
必修 選択必修
デジタル・シチズンシップ論 2~4 2  
数的思考法 2~4   2
データ・サイエンス概論 2~4   2
統計学Ⅰ 2~4   2
統計学Ⅱ 2~4   2
※さらに理解やスキルを高めたい学生には「現代社会とイノベーション」「コンピュータ・サイエンス概論」の履修を推奨します。
加えて、より応用的な内容を学びたい学生には「ビッグデータ解析論」「エビデンスと評価」の履修も推奨します。

修了証

プログラム登録を行い修了に必要な単位を修得した学生には、その年度末に修了証を発行します。
修了証はデジタル証明「オープンバッジ」の他、希望者には紙の証明書も発行予定です。

組織体制

運営責任者 教育イノベーション研究センター長
プログラムの改善・進化 教養・基盤教育運営部会
プログラムの自己点検・評価 質保証・質向上委員会