
こんな疑問をもっていませんか? 専攻として国際協力について学べる大学は、私立を中心として全国に複数あります。学部として設置しているところはあまり見られず、国際系学科のコースの一つとして「国際協力コース」などが設置されているケースが多く見られます。
しかし、「国際協力の仕事を目指すなら、国際協力コースがある大学に進めば大丈夫!」とは一概に言えません。
一口に「国際協力の仕事」と言っても、
- 現地で実際に専門技術を活かして働く専門職系
- 国際協力に関わる事業の計画・立案などを行う総合職系
の2つのタイプがあり、特性をよく理解せずに大学を決めてしまうと、将来的に希望の仕事ができないという恐れがあります。
専門職系では、大学で学ぶべき学問は携わりたいフィールド異なってきます。例えば、医療支援なら医学部、農業支援なら農学部、建築技術支援なら工学部に進むのが適切です。
一方の総合職系では、出身学部による就職の有利・不利はほとんどありません。しかし「国際協力コース」などでは、学生のうちに様々な国際社会の課題とその解決策を考え、国際協力の在り方自体を学ぶことで、国際協力の仕事についての理解を深め、知見を広げることができます。その点はアドバンテージとなるでしょう。
この記事では、「総合職系」の仕事を目指すことを前提として、
- 国際協力を学べるプログラムやコースを設置している大学
- 国際協力の仕事を目指すうえでの大学選びの3つのポイント
- 国際協力の仕事に求められる能力
を解説していきます。
目次
1.国際協力を学べる大学リスト
まずは国際協力を学べるプログラムやコースを設置している大学を東日本・西日本に分けて抜粋しました。
具体的な内容等は各大学・学部のページをご覧ください。
1-1.東日本の大学
東京・私立 | 上智大学 総合グローバル学部 |
拓殖大学 国際学部 国際協力コース | |
亜細亜大学 国際関係学部 国際協力コース | |
津田塾大学 学芸学部 多文化・国際協力学科 | |
神奈川・公立 | 横浜市立大学 国際総合学部 国際都市学系 グローバル協力コース |
神奈川・私立 | 青山学院大学 地球社会共生学部 |
千葉・私立 | 神田外語大学 グローバル・リベラルアーツ学部 |
1-2.西日本の大学
国際協力を学べる専門学校もある
この章で紹介したのは「国際協力を学べるプログラムやコースを設置している大学」ですが、専門学校でも国際協力を学べるところがあります。
2年制の専門学校は大学よりも2年早く就職できるため、早く社会に出て働きたい人にとっては適した進路と言えるでしょう。但し、一部の企業・機関は専門学校生を受け入れていない場合があるので、希望の仕事がある場合は募集要項をよく確認しておきましょう。
一例を紹介します。
[東京]神田外語学院 グローバルコミュニケーション科 国際協力コース
※当ブログを運営する専門学校です。国際協力コースの詳細は5章で紹介します。
※大学と専門学校の違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
次章では、国際協力関連の仕事を目指すためによりよい大学を選ぶ3つのポイントを解説します。
2.国際協力を学べる大学選びの3つのポイント
国際協力分野を学べる数多くの大学の中から、よりよい大学を選ぶために注目すべきポイントは以下の3点です。
2-1.外国語教育の充実度
国際協力関係の仕事では、現地に駐在するまたは派遣されることが多く、英語を中心とした語学力が必要になります。
新卒採用の応募資格に語学力の明確な基準が設けられているケースはあまりありませんが、面接時などに語学力を確認されることはあるでしょう。語学が不得意な状態で就職できたとしても、仕事で非常に苦労することは間違いありません。
そうした理由から、外国語教育の充実した環境で、学生のうちに応用的な語学力を身につけられるかどうかは重視すべきポイントと言えます。特に以下の点に注目しましょう。
- 外国人教員の数
- 外国語で行われる授業の種類
- 英語以外に学べる言語の種類(スペイン語、中国語など)
2-2.国際協力関連機関との連携有無
国際協力関連機関と連携したプログラムを実施しているかどうかも注目すべき点です。
例えば国際協力機構(JICA)では、一部の大学と連携して学生を国際協力ボランティアとして派遣する活動やワークショップの共同開催などを行っています。
学生のうちにこうした経験を積んでおくことで、自分の能力を世界でどのように役立てられるのか、どんな能力が不足しているのかなど、国際協力の仕事に対する知見を広げることができます。その経験は就職時にもきっと役立ちます。
個人で各機関・企業のインターンシップに参加することも可能ですが、自分の大学で連携協定が結ばれていれば、様々なプロジェクトに携わる機会が増えるのは間違いないでしょう。
※ボランティアの連携をしている大学はこちらでご確認ください。
大学の皆さまへ | 事業ごとの取り組み | 事業・プロジェクト – JICA
2-3.就職実績
国際協力を行う機関・企業への就職実績にも注目しましょう。
大学のキャリアセンター(学生の就活支援を行う部署)には、卒業生が就活記録を残しています。国際協力分野への就職実績が豊富なら、その就活記録も多く蓄積されているはずです。そうした記録はみなさんが国際協力分野への就活をする上で役に立つはずです。
また、国際協力分野に就職している卒業生に直接就活相談ができる機会もあるかもしれません。
3.大学で国際協力を学んだあとに就ける具体的な仕事*
一口に「国際協力の仕事」と言っても、JICAで協力プロジェクト全体を計画・調整する仕事や、民間企業として政府の事業に技術協力する仕事など、様々なものがあります。
国際協力関連の仕事ができるのは主に以下のような機関・企業です。
*大学で国際協力を学んでいなければ就職できないというわけではありません。
3-1.外務省
外務省では、国として途上国を支援する政策(政府開発援助/ODA)の立案・調整など、国際協力に深く携わります。世界各地の大使館などに駐在する外交官も、外務省の職員です。
入省には国家公務員試験に合格する必要があります。試験が難しく倍率も高いため、就職(入省)難易度の高い仕事です。
3-2.公的機関
政府などが関わる公的機関で国際協力関連の活動をしているところも複数あります。一例を挙げます。
国際協力機構(JICA)
途上国の人材育成やインフラ整備、技術協力、災害援助などに取り組む外務省所管の機関で、世界約90か所に拠点があります。国際協力分野でよく耳にする「青年海外協力隊」は、JICAが実施している事業です。
国際協力銀行(JBIC)
政府系の金融機関です。国際協力分野としては、日本企業が関与する海外でのインフラ事業への金融支援や、地球環境を保全する業務の支援を行っています。
ちなみに公的機関に就職する際は、一般企業と同様に採用試験を受験します。
3-3.民間企業
公的機関以外にも、国と協力して以下のような様々な面で国際協力を行っている民間企業があります。
- 道路や鉄道などのインフラ整備、灌漑設備などの建設
- 文化/スポーツ
- 人道支援
※民間企業での国際協力の仕事は、ほとんどが「専門職系」です。
3-4.NGO
難民支援や医療支援、教育支援など、地球規模の問題に取り組む非政府系の非営利組織です。国境なき医師団などが代表的な例です。国際協力活動に取り組んでいる日本のNGOは現在、400団体以上あると言われています。
続いては、これらの国際協力の仕事に就くために必要な3つの能力を解説していきます。
4.国際協力の仕事に就くために必要な能力
国際協力の仕事に就くために必要な力は以下の3点です。
※ちなみに「専門職系」の場合は、その分野の「専門力」が最も重要な要素です。
4-1.行動力
総合職系の仕事は一般企業の総合職と同様、あなたの様々な資質や能力を総合した「人間力」を見極められることがほとんどです。その「人間力」の中でも特に、国際的な課題を自ら解決するという「行動力」が重視されます。
国際協力銀行(JBIC)でも、採用応募者に期待することとして“複雑かつ変化の激しい時代に対応する柔軟な思考力、困難な課題でもそれに向かって突き進む行動力”を挙げています。
学生のうちから「自ら行動して世界を変えていく」という気概をもって、インターンシップやボランティアなど様々なことに挑戦しましょう。
4-2.語学力
2-1「外国語教育の充実度」でも触れたように、国際協力関係の仕事では「英語を中心とした語学力」が求められます。
例えばJICAでは、「高いコミュニケーション能力が求められる案件」ではTOEIC©730点以上、「業務上、充分なコミュニケーション能力が求められる案件」ではTOEIC©640点以上などと、業務上必要とれる語学力の基準がガイドラインで定められています。※フランス語、スペイン語でも可能です。
(参考)JICA 専門家語学ガイドライン(2019年3月改訂版)※PDFファイルが開きます
募集要項に英語力の基準が設定されているケースは稀(まれ)ですが、選考では英語力が高い人の方が有利になるのは間違いないでしょう。
留学は必要?
留学経験者が多い傾向はありますが、 留学は必須ではありません。
外務省の専門職員採用ページには、「留学経験については、それを通して何を会得したかが重要であり、経験の有無だけで採用・不採用を判断することはない」という旨の記述があります。
留学する余裕がない場合でも、国際協力関係の仕事をする人を訪ねたり、様々な文献を読んだりして自分の世界を広げることはできます。
4-3.コミュニケーション力
また、事業計画の立案や調整が主となる総合職系の仕事では、自分の意見を適切に相手に伝える「コミュニケーション力」も重要です。外国人と話し合う機会も日常的にあるため、異文化をよく理解していなければいけません。JICAはコミュニケーション力を下支えする資質として、協調性や社会性、共感性も必要としています。
(参考)PARTNER 6つの資質と能力
次章では、これらの能力を磨きながら国際協力について学べる神田外語学院のグローバルコミュニケーション科 国際協力コースをご紹介します。
5.英語力を磨きながら2年間で国際協力を学ぶなら、神田外語学院のグローバルコミュニケーション科 国際協力コースがおすすめ
JICAなどの新卒採用は大学・大学院卒者だけでなく、短大卒・専門学校卒者も対象としています。
2年間で世界で活躍するために欠かせない英語力を磨き、国際協力に関する知見を広げるなら、当ブログを運営する神田外語学院のグローバルコミュニケーション科国際協力コースをおすすめします。
5-1.グローバルコミュニケーション科 国際協力コースを勧める3つの理由
おすすめの理由は以下の3点です。
- 国際協力について英語で学べる
- 「卒業制作」として開発プランをプレゼンし、業界の識者からの批評を受けられる
- 東南アジアでの国際協力研修や、マンハッタンのグローバル企業訪問が体験できる
国際協力について英語で学べる
国際開発論、国際協力論、開発手法など、国際協力の業務に戦略的に携わるための知識とスキルを、現場経験豊富な教員から英語で学びます。※具体的な科目例は5-2で紹介します。
卒業後は、外務省在外公館派遣員*、国際協力関連を専攻する大学への編入学、国際協力関連機関への就職、開発コンサルタントを主とした民間企業への就職など、様々な道を想定しています。
*外務省在外公館派遣員…世界各国の日本国大使館などに駐在し、外交のサポートを行う仕事です。
「卒業制作」として開発プランをプレゼンし、業界の識者からの批評を受けられる
2年次にはチームごとに開発プランを提案し、「卒業制作」として英語プレゼンテーションにまとめます。プレゼンテーションスキルに加え、問題解決力、リサーチ力、組織力、情報発信力、英語力を育みます。
プレゼンテーションには関連業界から審査員を招いて質疑応答の場を設け、投資する価値があるかどうか批評を受けます。将来、国際社会を目指す皆さんにとって貴重な経験となるでしょう。
東南アジアでの国際協力研修や、マンハッタンのグローバル企業訪問が体験できる
東南アジア国際協力研修(希望制 14単位付与)
東南アジアの開発国に2週間滞在し、デスクリサーチや聞き取り調査、ステークホルダー分析によって現地の人々が抱える問題の解決に挑みます。現地ではホームステイ生活を送ることで、現地の人々の生活により密着します。
日本と異なる環境に身を置くことで、異文化理解力や環境適応力を高めます。自信が求める理想と、現地の人々が求める理想のギャップを体感し、現実に向き合い、将来的に国際協力のプロとして業務を遂行するための土台を築きます。
研修先 | 東南アジア(国は未定)の都市部および農村部 |
研修期間・滞在形態 | 2週間・ホームステイ |
研修費用 | 約35万円 ・現地での集団移動交通費(バス代等)を含む ・海外旅行保険費、危機管理費用等は別途必要 |
参加条件 | ・1年次3学期(選択科目期間)の「東南アジア国際協力研修」科目を受講していること ・出発までにTOEIC©800点を取得していること |
NY短期アントレプレナーシップ研修(希望制 14単位付与)
アメリカ・ニューヨークに2週間滞在し、リアルなビジネス体験を通して問題解決力を高めます。午前中はセント・ジョーンズ大学マンハッタンキャンパスで経済・金融・マーケティング等の講義を受け、午後は実際に現地企業を訪れて課題解決に挑みます。
研修先 | セント・ジョーンズ大学マンハッタンキャンパス St. John’s University, Manhattan Campus |
研修期間・滞在地 | 1週間(3月)・米国ニューヨーク州ニューヨークマンハッタン |
研修費用 | 約35万円(海外旅行保険費、危機管理費用等は別途必要) |
参加条件 | ・1年次3学期(選択科目期間)の「NY短期アントレプレナーシップ」科目を受講していること ・出発までにTOEIC©800点を取得していること ・セント・ジョーンズ大学の教授とのオンライン面接 |
5-2.グローバルコミュニケーション科 国際協力コースの科目例
グローバルコミュニケーション科 国際協力コースの専門科目の例を紹介します。
International Development Studies(国際開発論)
国際協力とは「誰が、どのような枠組みの中で、どのように実施しているのか」、「どのような効果や影響を与えているのか」など、国際支援の現場を熟知した教員から学びます。(英語で実施)
Theory of International Cooperation(国際協力論)
多様性に富むグローバル社会において、教育、人材開発、ジェンダー、農村、社会開発などがどのように発展・変化してきたのかを考えていきます。(英語で実施)
Development Method(PCM, PDM)(開発手法)
開発手法とは、プロジェクトを計画し、実施をモニターし、成果を評価するためのツールです。この手法の開発プロジェクトの「計画立案」と「モニタリング・評価」の二つの段階を学びます。(英語で実施)
5-3.グローバルコミュニケーション科の進路実績
グローバルコミュニケーション科の主な就職・編入学・進学実績(抜粋)は以下の通りです。
就職
Earth Technology、Edelman Japan、KDDIウェブコミュニケーションズ、PwC、Soogol management、アイスタイル、アウトソーシング、アテック、インヴァランス、エイベックス、エキスプレススポーツ、花王、気分、紀文産業、国際興業、コグニザントジャパン、在サウジアラビア日本国大使館(外務省在外公館派遣員)、シーバロジスティクスジャパン、システナ、スターバックスコーヒー ジャパン、日本軽金属、日本航空、野村貿易、プーマ ジャパン、ブリリアントサービス、米国三越、マテリアルパートナーズ、みずほインターナショナル、ムラキ、メディアビーコン、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン、リコージャパン、レッドブルジャパン
大学編入学
【国公立】愛媛大学、国際教養大学、埼玉大学、滋賀大学、筑波大学、都留文科大学、東京外国語大学、東北大学、名古屋大学、福島大学、北海道大学
【私立】 神田外語大学、駒澤大学、日本大学、立命館アジア太平洋大学
※グローバルコミュニケーション科全体の実績です。国際協力コースは2021年4月設置のため、単独の進路実績はありません。
グローバルコミュニケーション科の出願には、「グローバルコミュニケーション科説明会」への参加が必要です!
グローバルコミュニケーション科には、以下の卒業要件が設定されています。
- TOEIC©800点以上取得
- 指定授業科目147単位取得
これらの卒業要件や学科の特性を担当教員が皆様に直接お話しする「グローバルコミュニケーション科説明会」を実施しています。
説明会参加者には、出願時に必要な「グローバルコミュニケーション科説明会参加証明書(2021年度入学志願者対象)」を発行します。出願前に必ずご参加ください。
≫神田外語学院の教育の特長について以下の記事もご覧ください!
6.まとめ
この記事の内容をまとめます。
■国際協力の仕事は大きく以下の2タイプに分けられる
- 現地で実際に専門技術を活かして働く専門職系
- 国際協力に関わる事業の計画・立案などを行う総合職系
このうち新卒で就職できるのは主に「総合職系」
■国際協力を学べる大学選びのポイントはこの3つ
- 外国語教育の充実度
- 国際協力関連機関との連携有無
- 就職実績
■国際協力の仕事に就くために必要な能力はこの3つ
- 行動力
- 語学力
- コミュニケーション力
この記事を参考に、国際協力の仕事を目指すうえで最適な進路を考えてみてください。