第2回 Sie sind spitze! (You are great!)

日本からドイツのビジネスをサポートしていたときのこと。金曜日の朝にドイツからテレックスが届いていました。

来週月曜日からの展示会に参加することにしたので、大至急カタログを送ってくれ、という内容でした。「月曜日?!」と私はおもわず叫んでしまいました。それはいくらなんでもないだろうと思いました。

ドイツのビジネスはまだ小さく、少しでも商売の機会を取り込んでいく必要がありましたが、それにしても今日の明日という要求にはまいりました。
まず集められるだけカタログを集めました。500部取り寄せることができました。すぐに梱包しましたが、不器用な私が梱包したカタログはゆがんだ形になってしまいました。

でも、そんなことに構ってはいられません。その日(金曜日)の午前中に手配を終え、ドイツへ郵送する手続きをとりました。
間に合わないかもしれませんが、とにかく最善を尽くすしかありませんでした。

月曜日の夕方、ドイツからテレックスが飛び込んできました。
“Sie sind spitze !”

英語で”You are great !”の意味です。なんともうドイツにカタログは到着したというのです。
時差が8時間あるから、月曜日の夕方はドイツでは月曜日の朝。
金曜日中に日本を発送できたらしく、週末をはさんで月曜日に到着したというわけです。

ドイツの同僚、ヴァイトは強面でやや気性の荒い性格の持ち主でしたが、このときばかりはものすごく感謝してくれました。
これ以降、彼は私を頼りにしてくれ、相談事も時々来るようになりました。

上司から外国の人と仕事をするときは2つのことを徹底的にやれ!と言われました。短所を見たらきりがない、長所を見るようにしなさい。相手が困っているときは徹底的に助けなさい。
この2つを実行していれば、海外での仕事はうまくいく、と教えられたのです。
カタログの件は、まさに私に上司のことばをなるほどと思わせる出来事でした。

私は大学で4年間、ドイツ語を専攻しましたが、フレーズはほとんど忘れてしまいましたが、“Sie sind spitze”だけは今もって覚えています。
あの月曜日の夕方、ヴァイトと電話で喜びを分かち合えたことは何にも替えがたい瞬間でした。まさに”spitze”の時間でした。

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