日本語研修:お役立ち情報

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外国籍社員の受け入れ研修、課題や必要な準備・プログラム例を紹介!

2023.10.12

「技能は申し分ないけれど、もう少し日本語が話せれば……」、「日常会話は上手だけれど、ビジネス用語を習得してほしい」など、外国籍社員に対してさまざまな期待を抱いている企業も多いのではないでしょうか。外国籍社員に技能を十分発揮してもらうためには、日本語やビジネスマナーなどを学んでもらう「受け入れ研修」が欠かせないでしょう。今回は、外国籍社員向けの受け入れ研修でよくある課題やプログラム例、より効果的な研修にするためのポイントなどを紹介します。

外国籍社員向け研修でよくある課題

外国籍社員向け研修においてよく見られる課題には、次のようなものがあります。

  • 研修の目的を明確にしていないため、実際の業務に活かせる力がつかない
  • 日本の企業文化や商習慣についての理解度によって、得られる成果が異なる
  • アジア・欧米など出身国や文化的背景の違いに配慮しない一律の指導 
  • 受講者それぞれのレベルに合わせたプログラムではないため、理解度にバラつきが出てしまう
  • 日本語そのものを学ぶだけで実用性や面白みが感じられず、モチベーション維持に失敗
  • 一般的な日本語研修のみで専門用語の理解力を高められない
  • フォローアップが足りず弱点を克服できない
  • 職場の日本人とのコミュニケーションを想定していないため、実践的でない

では、これらの課題を克服して外国籍社員向け研修を成功させるためには、どのような準備やプログラムが必要なのでしょうか。このあと見ていきましょう。

外国籍社員向け研修を成功させるための準備

外国籍社員向け研修は、以下のような準備を行ってからスタートすると、より高い効果が期待できます。

目的を明確にする

「ビジネスマナーの習得」や「ビジネス日本語力の強化」など、受講目的を明確にします。対象者については、「新入社員」や「日本への赴任者」など具体的に絞り、できれば細かくレベル分けして、それぞれのレベルに応じた教材や内容を用意するのが理想的です。出身国により、漢字の理解度や聴き取りなどについて得意、不得意の傾向があるため、国別にグループ化すると効果的な場合もあります。

外国籍社員の日本文化理解度、日本語能力を把握しておく

日本滞在年数や会話力、テストの結果などを参考に、外国籍社員のおよそのスキルを把握しておきます。必要に応じてレベル別に振り分け、異なるプログラムを用意するとよいでしょう。

フォローアップの予定も立てておく

一度研修を実施して終わりではなく、フォローアップ研修などを適宜実施し、学習効果の維持・向上を目指します。

外国籍社員向け研修のプログラム例

外国籍社員向け研修ではどのようなことを学んでもらうとよいのでしょうか。具体的なプログラム例をご紹介します。

外国籍新入社員研修

  • 目的
    外国籍の新入社員に、日本のビジネス用語や日本人との仕事上のコミュニケーション、日本人の仕事に対する考え方や姿勢などを学んでもらう。
  • 内容
    日本語、ビジネス慣習など。
  • 進め方
    日本の会社で働いていくうえでの不安を取り除きながら、日本語や職場の上司や関係者との「報・連・相」の大切さや敬語の使い方など、ビジネス慣習の基本を学んでもらう。
  • 注意点
    日常会話の日本語が得意な社員でも、社会人としての言葉遣いができない場合があるので、その点に注意する。
  • 研修の効果
    日本で社会人として活躍するための基本を覚えられる。

ビジネス日本語

  • 目的
    外国籍の社員にビジネスで使われる日本語表現や効果的なコミュニケーションを学んでもらう。
  • 内容
    電話応対、商品説明、上司への報告など。
  • 進め方
    入社年数や日本滞在年数などによって受講者のスキルが異なるため、それぞれのレベルに合わせる。
  • 注意点
    ある程度のスキルを持つ社員も弱点が克服できるようなプログラムを選択する。
  • 研修の効果
    ビジネスシーンでの日本語での対応に自信を持てるようになる。

ビジネスマナー・異文化理解

  • 目的
    日本でのビジネスマナーや日本の文化について理解を深めてもらう。
  • 内容
    あいさつ、名刺交換、慣習、日本のビジネスパーソンの考え方など。
  • 進め方
    「なぜ日本人はそのように行動するのか」といった理由をわかりやすく説明することで、背景にある文化の理解にもつなげる。
  • 注意点
    外国籍社員の出身国の文化を否定することなく、相互理解を深めながら、日本のことを学んでもらうようにする。
  • 研修の効果
    外国籍社員が委縮することなく、伸び伸びとスキルを発揮できるようになる。また、コミュニケーション上の誤解を防げるようになる。

日常会話/生活マナー

  • 目的
    日本での滞在が初めてとなる外国籍社員に、日常的によく使われる表現や交通機関の利用法、ゴミ出しなどについて学んでもらい、日常生活で困らないようにする。
  • 内容
    買い物、レストラン、駅、郵便局など、シーン別の頻出表現を学ぶ。
  • 進め方
    日常的によく使われる表現をシーン別に習得することで、実践力が付くようにする。
  • 注意点
    外国籍社員が実際にコミュニケーションで困ったシーンを挙げてもらうなどして、不安を取り除くようにする。
  • 研修の効果
    日本での日常生活が送りやすくなる。表現の幅が広がることで、同僚との会話もより楽しめるようになる。
ビジネスマナー研修の事例はこちらの記事をご覧ください。
→ ケリーサービス(パーソルコリア) 様

より効果的な研修にするためのポイント

外国籍社員向け研修を実施する際には、いくつかのポイントを押さえると、より効果的なものになります。ここでは、外国籍人材の定着化と戦力化を図るために効果的なものをご紹介します。

要改善点に着目したレッスンを導入

外国籍社員の日本語スキルで、「ここをもうちょっと改善できれば……」という点にフォーカスしたレッスンを取り入れると、弱点克服の近道になります。

例えば、神田外語キャリアカレッジでは、マナー・異文化研修、日本語研修、外国人新入社員研修などの外国籍社員向け研修を実施していますが、「もうちょっと改善できれば……」といった点に対応したプログラムもご用意しています。聞き取りの改善を主目的としたレッスンや発音矯正に力を入れるレッスン、日本企業特有の仕事の進め方に慣れてもらうためのレッスンなど、より円滑なコミュニケーションが図れるようにするのに有用なプログラムです。

神田外語キャリアカレッジでご提案する外国籍社員向け研修についての詳細は、こちらでご確認いただけます。

現在の課題とニーズに即したカスタムメイドのプログラムを作成

一般的な日本語の言葉を上手に使うことができても、仕事の現場で使う専門用語がわからなければ、作業に支障が出る場合があります。逆に、自身の専攻分野の難解な日本語を読みこなす力はあっても一般的な会話がままならず、コミュニケーションに支障を来す場合もあります。

「外国籍社員向け日本語研修」と一口に言っても、課題とニーズは千差万別。そこで有効なのが、個々の課題とニーズに即したカスタムメイドの研修プログラムです。

神田外語キャリアカレッジでは、各受講生のレベルや課題、ニーズを十分に把握・分析したうえで、最適なプログラムを提案しています。

【カスタムメイドのプログラムの一例:新卒外国籍内定者日本語研修】

導入企業:建設会社(土木建築その他工事の調査、測量、企画、設計、施工、監理他 アジアを中心に世界20か国で事業展開)

実施背景:海外からの技術系の大学院留学生を新卒社員として採用。研究や専門用語に関連する日本語レベルは高いものの、一般的な話す力に課題があった。また、入社後の他の新人社員との合同新入社員研修や配属先でのコミュニケーションの円滑化を必要としていた。

研修項目:ビジネス語彙と表現/敬語・ビジネス会話/ビジネスメールの書き方・「業界の今を知ろう」(建築・設計関連トピックスについて話す)など

導入成果:「敬語」などビジネスパーソンにふさわしい日本語力の習得・ビジネスシーン全般における話す力の強化・実践的な演習により新入社員研修や配属時の不安を解消

成功要因: 個々の課題やニーズに対応したプライベートレッスン形式で実施・専門の「建築・土木」関連の記事を使用し、得意の読解から話す力へ展開・「ビジネス会話」「敬語」「ビジネスメール」の教材演習により実践力強化

事例の詳細はこちらもご確認ください。

外国籍社員を受け入れる側も配慮を

外国籍社員向け研修の効果を一層高めるには、受け入れる側の日本人社員も積極的に相手の国の文化を理解し、共通語である英語を身に付けるといった姿勢を持つことが大切です。外国籍社員向け研修の実施を機に、日本人社員向けの英語研修を実施するのもよいでしょう。

神田キャリアカレッジでは、日本人社員向けの英語研修と外国籍社員向けの研修を同時にご提案することも可能です。まずはご相談ください。

相互理解を深めながら、研修効果のアップを目指そう

外国籍社員を受け入れる際には、お互いの文化への理解が欠かせません。一方通行的に日本の文化や慣習について学んでもらうだけでは、外国籍社員の「日本では、なぜこうするのか?」という疑問が解消されない可能性があります。「自分の国ではこういう理由でこう行動するけど、日本人には別の理由がある」と納得してもらうためにも、コミュニケーションをよくとって相互理解を深めながら、研修効果のアップを社員全員で目指したいものです。

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