コラム
2017 Dec. 18
【態】その1
―2種類の「態」―
能動態と受動態
「態(たい)」には2種類あります。動作主を主語にした文を「能動態」、受動者を主語にした文を「受動態(=受け身)」といいます。動作主と受動者?んー、何だかよくわかりませんね。それでは言い換えましょう。
「A(動作主)がB(受動者)を~する」という形が能動態、
「BはAに~される」という形が受動態、というわけです。
次の2つの英文と訳文をよく見比べてください。
例文1: Everybody loves Tom.
「誰もがトムを愛している」。
例文2: Tom is loved by everybody.
「トムは誰にも愛されている」。
この2つの文のA(動作主)は everybody でB(受動者)は Tom です。客観的事実は同じですが、主語の選び方が違うというわけです。これが2種類の「態」の違いです。もちろん、日本語にも受動態の文はありますが、英語では実に多くの場面で受動態を見かけます。受動態の作り方と注意点をしっかりと学んでおきましょう。
受動態のつくりかた
まずは作り方です。受動態は《be+過去分詞》の形で表されます。この be動詞は主語と時制によって変わります。例文2では、 Tom は3人称の単数、そして時制は現在だから、 be動詞は is になります。 loved は love の過去分詞形です。 loveのように過去と過去分詞が同形の動詞も多いので間違えないようにしましょう。
次に文の基本構造を見てみましょう。能動態の例文1は、 Everybody が主語S、 loves が述語V、 Tom が目的語Oの第3文型(SVO)ですね。ここに目的語Oがあることに注目。能動態を受動態にするときには必ず目的語Oが必要です。なぜなら、この目的語Oが受動態の文の主語になるからです。
例文1(能動態)の目的語 Tom が例文2(受動態)の主語になっていますね。そして is loved( be +過去分詞)と続いて、例文1で主語だった everybody が by という前置詞が付いて最後に置かれます。これが能動態から受動態への基本的な作り方です。

さて、目的語Oを伴う文型は第3文型だけではありませんね。第4文型(SVO1O2)、第5文型(SVOC)にも目的語Oがあります。目的語が1つの第5文型を受動態にしてみましょう。
例文3: The children called the cat Tama.
→例文4: The cat was called Tama by the children.
特に問題ありませんね。それでは目的語が2つの第4文型はどうでしょうか。受動態も2つできるはずですが……。
例文5: Bob gave Jane a ring.
→例6: Jane was given a ring by Bob.
+例文7: A ring was given Jane by John.
例文7は to Jane としないと不自然です。
例文8: Bob bought Jane a ring.
→例文9: Jane was bought a ring by Bob.
+例文10: A ring was bought Jane by Bob.
人を主語とした例文9は不自然ですし、例文10も for Jane としないと不自然です。
いかがですか?目的語があるからといって機械的に受動態にしても不自然な英語になることがあるので注意が必要です。さて、次回はさらに注意すべき受動態のお話です。
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