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神田外語Extension

Columnコラム

2020 Feb. 26 翻訳のコツ 第10回 カタカナの意味
Yuji Kadota

 

 

渡辺直美の記事に戻りましょう。以下の英文を翻訳してみてください。
In this country of overwhelmingly thin women, most fashionable stores don’t even stock sizes above M, and Watanabe is challenging deeply ingrained perceptions about body image.
2行目のandまでの訳は、「ものすごく細い女性のこの国で、ほとんどのおしゃれな店はMより大きいサイズをストックしてない」となります。ここでのポイントは、andの次にある動詞のchallengeをどう日本語に訳すかということです。challengeという英単語は、「チャレンジ」というカタカナで日本語に入り込んでいますから、ついつい「チャレンジする」という訳を出してしまいます。

しかし、日本語の「チャレンジする」と英語の動詞であるchallengeは同等の語義を持つのでしょうか。例えば、「私は先週、東京マラソンにチャレンジした」という日本語を英語で言うと、
Last weekend, I challenged the Tokyo Marathon.になるのでしょうか。
実は英語のchallengeは「挑戦へ誘いかける 物事の事実・正当性に立ち向かう」という語義があります。従って以下のような使い方が正しい英語となります。
The marathon challenged the runners. 「そのマラソンは参加者には試練だった」
We challenged them to a game of doubles. 「私たちは、彼らにダブルスの試合を申し込んだ」
渡辺直美の記事にあるWatanabe is challenging deeply ingrained perceptions about body image.の訳は、「ワタナベは、体のイメージについて深く浸透してる認識にチャレンジしている」という訳ではなく、「ワタナベは、体のイメージについて深く浸透してる認識に挑んでいる」という訳にしたほうが、オリジナルの意味を正確に伝えていることになります。

では次の英文のmindsはどう訳せばいいのでしょうか。「マインド」というカタカナが日本語にありますから、「心」と訳してもいいのでしょうか。“But rather than trying to change other people’s minds, I would like to help change the minds of bigger women, to help them feel good about themselves.”
日本語では、「考えるところ」と「感じるところ」が一体のものとなっており、両方とも「心」で表現します。「心で考える」「心で感じる」という日本語があることからもわかりますよね。しかし、英語では「考えるところ」と「感じるところ」は別のもので、知性・思考・理性はmindという語彙で表現します。従って、「でも、他の人たちの考えを変える努力をするよりも、大きい女性たちの考えを変える手助けをしたいと思ってます。彼女たちが自分自身のことをよく思えるように手助けをしたいと。」と訳すとオリジナルの意味を正確に表現することが出来ます。普段何の疑問もなく使っているカタカナの言葉には十分注意して、英語の語義を考えた翻訳を作成するように心がけましょう。

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