―比較変化する？しない？―

比較変化には3種類ある

２つの時計の値段を比べるとき、英語ではどう言ったらよいでしょうか？また、５人の選手のなかで最も速く走る人のことをどのように表現したらよいと思いますか？人や物の性質・状態・数量などの程度を表すとき、日本語と同じように英語でも「比較」表現を使います。

「比較」を表すことができる語は形容詞と副詞です。名詞や動詞では何かを比較することはできません。例えば「私の時計はあなたの時計より時計だ」とか「５人の選手のなかで、一郎さんが最も走る」では意味が通じません。「私の時計はあなたの時計より高価だ」「５人のなかで、一郎さんが最も速く走る」のように程度を比較するときは、形容詞「高い」や副詞「速く」という語が必要ですね。英語でも同様に形容詞と副詞を使って表現します。

My watch is more expensive than yours.

Ichiro runs fastest of the five athletes.

あれ？ expensive が「値段が高い」という意味の形容詞だってことは知っているけど、その前に付いている moreってなに？そして、「速く」っていう副詞は fast でしょ？ fastest ってどういうこと？はい、程度を表すときに形容詞と副詞は語形が変わります。それを「比較変化」といい、原級・比較級・最上級の３つの級があります。 expensive は原級、 more expensive は比較級、 fast が原級で fastest は最上級です。えっ、 expensive と fast は比較変化の方法が違うの？そうです。

比較変化は（１）原級の語尾に -er を付けて比較級、 -estを付けて最上級、（２）原級の前に more を付けて比較級、 most を付けて最上級、そして（３）不規則に変化、という３種類があるんです。

比較変化の仕方と注意点

基本的に（１）と（２）の違いはその単語の長さによります。ほとんどの場合、１音節（発音記号の中に母音が１つ）の語は -er 、 -est を付け、３音節以上の単語には more 、 most を付けます。２音節の単語は、（１）の場合と（２）の場合があるので、必ず辞書でチェックしてください。

（３）の単語は不規則に変化します。この種類の語は数が少ないので、日常的によく使用する語は覚えてしまいましょう。
例：
good と well → better → best
bad と ill → worse → worst
many と much → more → most
little → less → least

その他、意味や状況で使い分けなければならない old 、 late 、 far などがありますので辞書を参照してください。

さて、形容詞と副詞のすべてが比較変化するわけではありません（原則として程度を強調する very や so などで修飾できない語は比較変化をしない）。

比較変化をしない語の例：
①程度の差がない（ only 「唯一の」など）、
②名詞から派生した形容詞（ musical 「音楽の」など）、
③その他「段階付け」ができない語（ daily 、 main 、 alone 、 just 、 simply 、 here など）。

比較変化をしない語は多くの英和辞書では（φ比較）のように表記されています。

次回は比較表現の使用例と覚えておくべき重要構文をご紹介いたします。