―頑固者と変わり者―

形容詞は名詞を修飾する働きをしますが、修飾する方法には２種類ありましたね。限定用法と叙述用法です。そして、うれしいことに形容詞の多くは、beautifulのようにどちらの用法にも使えます。しかも意味も変わりません。ただ、残念ながら、一部の形容詞には実に頑固者がいるんです。どちらか一方の用法にしか使えない形容詞です。さらに、用法によって意味が違ってしまう、変わり者もいるんです。

■限定 or 叙述 のみの形容詞

初めて出会った単語を辞書で調べるとき、いつもその単語の「詞」をチェックするようにしましょう。「形」と書いてあったら形容詞です。そのほかに何も書いてなければ、限定用法にも叙述用法にも使える形容詞というわけです。beautifulのようにどちらの用法にも使えます。そして、限定用法にしか使えない形容詞は、多くの辞書では「形［限定］」のように表記されています。この形容詞は名詞の前に置きます。つまり、限定用法の形容詞の後ろには名詞を置かなければいけないのです。この形容詞は大きく分けて、（１）もともと比較級や最上級の形容詞だったもの、（２）「強め」や「限定」の意味を持つ形容詞があります。代表的なものは覚えてしまいましょう。

（１）の代表は elder 「年上の」と latter 「後者の」。○ Jane is my elder sister. 「ジェインは私の姉です」とは言えますが、× Jane is elder.とは言えません。（２）の代表は、 lone 「たった一人の」、 main 「主要な」、 only 「唯一の」、 total 「総計の」などです。○ the main street はあっても、× This street is main. はありえません。○ John is an only child. 「ジョンは一人っ子」は、× John is only. や× John is lone. と書き換えることはできません。

一方、叙述用法にしか使えない形容詞は名詞の前に置くことはできません。叙述用法のみの形容詞は「アタマにａが付く形容詞が多い」と覚えてください。 afraid 「恐れて」、 alive 「生きて」、 alone 「一人で」、 asleep 「眠って」、 awake 「目が覚めて」などです。○ Tom is alone. 「トムは一人ぼっちだ」、○ Mary is asleep. 「メアリーは眠っている」のように使います。 an alone boy 、 an asleep girl のように名詞の前には置けません。
■”present”と”right”には注意！

さて、どちらの用法にも使えるけど、意味が違う変わり者がいます。２つだけ覚えてください。 present と right です。 What is your present address? 「あなたの現住所はどこですか？［限定］」、 He was present at the meeting. 「彼はその会議に出席していた［叙述］」。そして、 Raise your right hand. 「右手を上げなさい［限定］」、 This is the right answer. 「これが正解だ［限定］」、 You were right. 「あなたは正しかった［叙述］」。 right は「正しい」という意味ではどちらの用法にも使えますが、「右の」という意味では限定用法にしか使えません。

形容詞を辞書で調べるときには［限定］［叙述］の表記もしっかりチェックしましょう。