異文化理解の先駆者たち

第5回 クリフォード・クラーク『日本人とアメリカ人、その懸け橋として』

異文化コミュニケーションの原理や技法を活用し、
それぞれの専門を発展できるように設計したSIIC

スタンフォード大学での仕事が終わろうとしたとき、ベクテル国際センターのディレクターにフルタイムで一緒に働かないかと転職を持ちかけられました。私はこの依頼を受けて、その後6年間にわたり、外国人学生向けのカウンセリングと異文化コミュニケーションのプログラム開発、そして国際学生寮の設立などを行いました。また、異文化コミュニケーション論のコースでは理論とトレーニングのクラスで、8年間にわたり教壇に立ちました。

スタンフォード大学では、1975(昭和50)年にStanford Institute for Intercultural Communication (SIIC)を創立し、10年間にわたりディレクターを務めました。SIICでは、夏に異文化コミュニケーションに関するセミナーを開催しました。セミナーは、さまざまな専門性やキャリアの人々が、異文化コミュニケーションの原理や技法を活用して、自分の専門を発展できるように設計しました。毎年夏になると、このワークショップに深い関心を持った人々が世界中からやって来ました。ワークショップは1週間単位で、その分野は教育、カウンセリング、ビジネス、保健など多岐にわたりました。

日本からもこの分野の教育に関わる人々が参加してくれました。久米昭元教授もこのセミナーの参加者でした。彼との出会いを通じて、日本における異文化コミュニケーション教育の発展について知ることができたのは、とても貴重な体験でしたね。

1977(昭和52)年、37歳になった私は、スタンフォード大学での立場を変え、同大学の教育学部の博士課程で学び始めました。それから3年ほどして、P&G(プロクター&ギャンブル)で働く友人が私の元を訪ねてきたのです。P&Gは、せっけんや歯磨き粉などの消費材を製造する世界的な大企業です。

彼はP&Gの外国人学生の採用責任者であり、全米の大学を訪れていました。彼は、私が外国人学生アドバイザーとして働いていたコーネル大学やスタフォード大学を年に2回訪れ、学生の母国で行われているP&Gの業務で働くににふさわしい外国人学生を探していました。彼は訪れるたびに、私を食事に誘いました。そして、P&Gが採用を検討している学生一人ひとりについて私の意見を求めたのです。その友人がスタンフォード大学の博士課程で学んでいた私を訪ねて、P&Gの日本における計画について話し始めました。1980(昭和55)年のことです。(5/9)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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