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開学30周年にあたって


2017年4月オープンの8号館「KUIS 8」

「世界共通語としての英語」と「地域言語」ダブルメジャー体制をさらに推し進める

神田外語大学学長
酒井邦弥

神田外語大学は、1987年、ここ幕張新都心に開学して以来、本年めでたく30周年を迎えることができました。この間、「言葉は世界をつなぐ平和の礎」を建学の理念として、「真の国際人財」「心優しいグローバル人財」の育成にむけ「一意専心」地道な活動を積み重ねてまいりましたが、グローバル時代をリードする「外語大学」の一つとして、相応の地歩を固めることができました。これも、ご指導ご鞭撻をいただきました全ての方々のおかげであり、改めまして心からの感謝の意を表する次第であります。本当にありがとうございました。

本学は、いまだ30歳の発展途上の大学ではありますが、その源流は、実用性の高い外国語教育の、日本における草分け的な存在である専門学校「神田外語学院」にあり、その半世紀を超える経験の集積と、大学における研究成果が相まって、教育力・研究力はそれなりの水準にあると自負しているところであります。

30年を迎えるにあたって、これまでの成果と反省をふまえ、以下の4点を骨子とする教育改革を実施することといたしました。

学部生全員のダブルメジャー化

これまでも、一部の専攻語を除き「英語と地域言語」の「ダブルメジャー」体制にありましたが、今般、各種の課題を乗り越え、全学的な「ダブルメジャー」を確立することになります。これは、グローバル化が進展する中で、地球上の70億人とつながるためには、「世界共通語としての英語」の習熟が、若者たちにとって必要不可欠であると考えるからであります。これの担い手として、英語教育分野の修士の資格を有する70名を超える外国人教員を配置しております。これにより、「共通プラットホーム」である「世界共通語としての英語」の上に、英米語学科では地域言語としての英語を、アジア言語学科では、中国語/韓国語/インドネシア語/ベトナム語/タイ語を、イベロアメリカ言語学科では、スペイン語/ブラジル・ポルトガル語を、その背景となる文化とともに学ぶことになります。国際コミュニケーション学科では、「共通プラットホーム」に加え、国際コミュニケーション専攻では、ICTやプレゼンテーション・ディベートといった英語によるコミュニケーション能力を学び、国際ビジネスキャリア専攻では、海外インターンシップやビジネスに関わる多面的な体験や知識・技能を学ぶことになります。本学は30周年を機に、「ダブルメジャー」という外国語学部としては他に類例のない教育モデルに挑戦することになります。

環太平洋地域中心主義

本学は、英米語学科/中国語学科/韓国語学科/スペイン語学科の四つの学科からスタートしましたが、当時主流であった「独仏伊」ではなく、歴史的に日本と関係の深かったアジアや中南米に着目していました。以後、2001年の「国際言語文化学科」新設と同時に、小規模ながらインドネシア語/ベトナム語/タイ語/ブラジル・ポルトガル語専攻を設置し、12年の学科再編を経て現在に至っています。30周年を機に、文化的な多様性に富み、成長著しい東南アジアや中南米諸国の「言葉と文化」と英語に通暁(つうぎょう)した人財ニーズの高まりに対応し、スペイン語/インドネシア語/ベトナム語/タイ語専攻の定員数を見直しました。これにより、本学の「東南アジア/中南米重点戦略」は一層明確となり、自らが学んだ地域言語を母語とする「国や地域」に貢献する志の高い若者たちのニーズに応えることができるものと確信しています。現地で活躍している卒業生も喜んでくれています。

自立学習者育成のためのインフラ整備

本学は、開学以来「自立学習(Self-Access Learning)」の重要性を訴えながら「教えて教えて、育てる大学」から「学んで学んで、育つ大学」をめざしています。グローバル化や複雑化や技術進歩が進む中で、若者たちは、我々の世代とは異なり、マニュアルや前例のない世界で生きることになります。自らの頭で考え、自らが学んでいくことが必要になります。人工知能は「深層学習(Deep Learning)」を自主的に行っているそうです。また、2045年には人類の知能を超えると言われています。今こそ「自立学習者」を育てることが高等教育機関の責務と言っても過言ではありません。

こんな思いから、8号館として新しいSALC(Self-Access Learning Center / サルク)を新築オープンいたします。この空間はMULC(Multilingual Communication Center / マルク)と並んで、外国の「言葉と文化」を日本で学ぶという「非日常」を「日常」とする仕掛けの一つです。乳幼児が母語を習得するプロセスは、母親との共同作業で五感・六感を駆使していることに気づきます。SALCでは工夫されたスペースの中で、母親がわりのLearning Advisorsの指導のもとで、自分が得意とする方法を選択して一定のゴールをめざします。ハード面は世界標準にあると思います。ソフト面は、若者たちの感覚で、未来永遠に進化し続けることになります。教室での一斉授業には、一律性と言う限界がありますが、ここでの学びは個人差を認める究極の個別学習であり、乳幼児と同様、自らにふさわしい方法を身につければ生涯学び続ける「自立学習者」となれるのです。

“Developmental”教育の強化

日本社会の成熟化にともない、少子化の一方で高学歴化・大学のユニバーサル化が進んでいます。学習習慣や読書習慣に若干の難が認められるケースも少なくありません。本学は、このような状況に積極的に対処することは、教育機関として当然の責務であるとの認識から、今般、センターを立ち上げ本格的に取り組むこととしました。これまでの自らの学びの基礎に少しでも不安のある学生には、一人ひとりに寄り添い、授業やSALCやMULCとも連動しながら指導していく考えです。また、実施に際しては、先輩が後輩を導くというTutoring Systemを導入したいと考えています。Teaching is Learningの実践であります。これが、本学の学びの新たな伝統になればよいと考えています。

言語運用能力は、これまでの訓練の蓄積であり、これまでの習慣の蓄積であります。王道はありません。学びの中でも、最もつらい分野の一つだと思います。本学は、先生方の熱意や施設面からの支援で、若者たちの学びの背中を押し続ける覚悟であります。  本年は奇しくも明治150年にあたります。日本の建国のために、外国の「言葉と文化」を無から学び始めた、かつての「若者たちの心意気」が、この「言霊(ことだま)の幸(さきわ)う学び舎(や)」で、今、よみがえります。

以上

神田外語大学長 酒井 邦弥

学長プロフィール

さかい・くにや/1944年、東京都生まれ。1968年、東京外国語大学ドイツ語学科を卒業し、第一銀行(現・みずほ銀行)に入行。1999年、第一勧業銀行専務取締役となり、翌年にはみずほホールディングス取締役副社長に就任。東京外国語大学理事を経て、2010年から現職。



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